院長あいさつ

教養教育研究院長
渋谷 努
中京大学教養教育研究院についてお話しするにあたり、まずは大学を卒業するための要件について概略的な話をしたいと思います。中京大学では学部固有科目と全学共通科目の双方で必要な単位を修得して、卒業することができます。学部固有科目とは各学部が提供している専門科目のことで、卒業必要単位の約3分の2を占めます。一方の全学共通科目とは、「学術的基盤」を築くことを目標とした科目のことです。グローバルコミュニケーション、スポーツ・健康、人文科学、自然科学、社会科学、複合領域の各分野から幅広く学びます。これが卒業必要単位の約3分の1を占めます。これらの科目を提供するのが教養教育研究院です。「幅広く勉強し総合的な知を身に付ける」というのがここで学びの核となります。
皆さんが生きている現代の世界は、急激に変わりつつある世界です。さまざまな技術が発明され、例えばAIの発達によって今までではできなかったことが、AIができるようになっています。また紛争や戦争が各地で起きており、なかなか終結の目処が立っていません。温暖化の影響なのか、猛暑があるかと思えば集中豪雨や大雪が降るなど、これまででは考えられない「天災」が起きています。日本国内を見ても、「子ども食堂」という言葉がテレビの画面からもちょくちょく見るようになり、それだけ国内での貧困問題が日常的になってきています。家族のあり方も変わっていくかもしれません。
このように、これまでの状況とは異なる世界を生きていく皆さんには、学部での専門的な知識を学ぶとともに、教養教育研究院による全学共通科目を通して幅広い知見を身に付けてもらい、いかなる時代に生き、いかに生きるべきかを考察し、 適切な行動を自ら選び取れる市民となってもらえればと思います。