中京大学 情報理工学部 情報科学研究科

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石原 彰人

教員紹介faculty
機械情報工学科 Mechanics and Information Technology


生体内の情報処理の理解と利用を目指して
石原 彰人


自己紹介

 皆さんは,日常生活の中でごく自然に花を見たり,その匂いをかいだり,それを触って感触を楽しむなどをしていると思います.視覚の場合,花や木を眼で見てそれを認識でき,さらには葉のつき方や形から種類まで分かるかもしれません.しかし,このような我々には何気なく出来る事を,コンピュータあるいはロボットで実現するにはどうしたら良いでしょうか.その場合に,我々が既に持っているものを,つまり母親のお腹の中にいるときから現在までの間に獲得している,体の中や頭の中にある機能を,コンピュータなどに上手く利用できないものでしょうか.
 私は,視覚の機能に興味があり大学院や研究員の時代には,視覚の入り口の器官である「網膜」を中心に研究を行ってきました.我々が「そこに花がある!」と認識するまでには,様々な処理が眼から頭(脳)の中で関わっており,それらは神経細胞(ニューロン)で実現されています.そこでそれら視覚系を構成するニューロンの生物学・生理学的な特性から,数理モデルを組み立て,計算機シミュレーションより解析するという方法で,生体の視覚に関する情報処理機能について研究してきました.

視覚の情報処理機能の理解と利用を目指して
 私の研究を一言で表わすなら,「生物の視覚を,その体の中身と出来る限り同じやり方でコンピュータ上に作りあげよう」ということになります.現在もその流れから私の研究室では,視覚を中心にヒトや生物の生体内に実現されている脳神経系の機能を研究しています.その際,調べている機能や特性(例えば,明るいときと薄明かりの中で同じように物が見えるのはなぜかなど)を生体内の神経メカニズムに基づいたモデルとしてコンピュータの上に組み立てることで,シミュレーション実験よりその機能について解析します.これらを通じて,画像処理や知能センサ,ロボットビジョンへ応用できる新たな発見も期待できると考えています.



ゼミ紹介

 石原ゼミでは,1) 生体情報の計測,2) 計測データの解析,3) 生体システムをいかにコンピュータ上に構築すればよいのか,という3点について演習を中心に理解を深めていきます.

■スケジュール
春学期
・時系列信号処理の計算機演習
・生体信号(筋電図)の計測(計測アンプの製作から解析まで)
・視覚物理特性の計測と解析
・ニューロンの数理モデルと計算機シミュレーション
秋学期
・文献検索,各自興味ある文献の紹介
・卒業研究の準備としてテーマ決めと予備実験
・予備実験結果報告・発表

■卒論テーマ
・網膜など視覚系を構成するニューロンのモデル化
・網膜電位図を再現する数理モデルの構築
・ヒトの視覚特性に関する神経系に基づいた解析
・運動制御に関する神経系に基づいた筋電図の解析
・ニューロンのモデル化研究に役立つソフトウェアツールの開発
その他のテーマや詳細は,研究室のWebページ(http://nelab.sist.chukyo-u.ac.jp/) を参照してください.

学生へのメッセージ
 大学では,言われないからやらないのではなく,言われなくても自分で将来を予測し必要と思えることを進んでやることが重要になります.それによって大学生活も実りの多いものになると思いますし,社会へ出てからの活躍の場も広くなることでしょう.長年の癖や生活パターンを変えていくのは大変でしょうが,何か1つでも興味があることを見出して,ぜひここで心の持ち方をそのように変えるよう努力してみて下さい.



URL

http://nelab.sist.chukyo-u.ac.jp/



担当科目

解析学II, コンピュータ・ネットワーク,数値シミュレーション,ディジタル信号処理 ,ニューロインフォマティクス論



略歴

1971年 岐阜県郡上市生まれ
1992年 岐阜工業高等専門学校 電気工学科 卒業
1994年 豊橋技術大学 工学部(情報工学課程) 卒業
1996年 豊橋技術科学大学大学院工学研究科 修士課程(情報工学専攻) 修了
2000年 豊橋技術科学大学大学院工学研究科 博士後期課程(電子・情報工学専攻) 修了 博士(工学)
2000年 豊橋技術科学大学 未来技術流動研究センター 研究員
2002年 豊橋技術科学大学 工学部 研究員
2004年 中京大学 生命システム工学部 講師
2008年 中京大学 情報理工学部 機械情報工学科 講師
2009年 中京大学 情報理工学部 機械情報工学科 准教授