中京大学スポーツ_vol31
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か もりもとあい今回紹介するのは、女子軟式野球部に所属しながらBaseball5(ベースボール5)日本代表として世界で戦う森本愛華選手(3年)。ベースボール5とは、1チーム5人制、5イニングからなる野球・ソフトボールの新しいストリート競技であり、森本選手は過去に3度日本代表に選ばれている。今年3月に開催されたユース・アジアカップでは、大会MVPに輝き、日本の優勝に大きく貢献した。MVPを受賞したときについて「まさか自分がと驚いたが、チームに貢献できた証なので嬉しかった」と振り返る。個人の栄誉でありながら、森本選手はそれを仲間と勝ち取った成果として受けとめていた。彼女にとってMVPは、チームワークの結晶を象徴するものだったに違いない。日本代表は男女混合のチームであり、当初は「コミュニケーションに難しい部分もあった」と振り返る。しかし、練習や試合後の食事を通して距離が縮まり、少しずつ信頼関係が築かれていったという。「緊張しているときはみんなで声を掛け合ったり、背中をたたいたりして鼓舞しあった」と話す。9月にメキシコで開かれたワールドカップに日本代表として出場し、優勝を目指して臨んだものの結果は7位にとどまり、悔しさが残ったと語る。一方で、世界各国の選手たちと交流する機会にも恵まれ、多くの刺激を得たことが今後への大きな糧になったという。世界を相手に戦う舞台でも、仲間を信じ、自分らしくプレーすることを大切にする森本選手。アジアの頂点を経験した彼女が、次はどんな活躍を見せてくれるのか。森本選手の挑戦から目が離せない。森本選手は、8月に開かれた全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)において、女子高校生として初めて始球式を務めた。全国の高校球児が憧れる夏の甲子園のマウンドに彼女が立ったことは大きな注目を集めた出来事である。ベースボール5のユース・アジアカップでMVPに選ばれた功績が認められ、今回の選出に至った。始球式当日を振り返り、「練習から緊張がすごかったが、普段とは違う景色の中で楽しく投げることができた」と語った。満員の観客席やテレビカメラ、甲子園中京大中京高校女子軟式野球部の土井和也監督に森本選手について話をきいた。森本選手がベースボール5を始めたのは、クラブの練習で土井監督がこの競技を取り入れたことがきっかけである。土井監督は「グラウンドで多くのクラブが活動しており、スペースと時間が限られる中で、全天候型であり、野球に活かせる技術が多くあることを知り、取り入れた」と語る。限られた環境を逆手に取った工夫が、新しい挑戦へとつながったのである。日本代表に選出された際は、「初めは(世界各国を相手にするのは)厳しいかなと思ったが、試合をみると堂々とプレーしていて成長を見られた」と話し、その姿に確かな成長を感じ取っていた。特有の熱気は、普段のマウンドとは大きく異なるものであったが、その状況を楽しみながら堂々と投げる姿は観客に強い印象を残した。また、始球式に臨んだ心境について「野球の魅力や女子プレーヤーの存在を多くの人に知ってもらいたいという気持ちで投げた」と述べている。単なるセレモニーではなく、自らが女子野球を背負う存在であるとの自覚を持ち、使命感を込めて投じた一球であった。女子高校生として初の始球式という快挙は、森本選手にとって忘れられない経験であると同時に、後に続く女子野球選手たちにとっても大きな意味を持つ出来事となった。女子高校生初の甲子園始球式監督が語る森本選手の歩み世界へ挑む女子軟式野球部森本愛華選手附 属 高 校 の最新ニュースをお届け!文・構成:学生広報スタッフ「ライト」桑原一貴、青木晟、森岡奈未(左から)土井監督、森本選手12

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