Discussion Paper No.1301

Abstract :
市町村など、より小地域を対象とした産業連関表の作成と応用の研究への関心が高まっている。ここでは、愛知県を事例として県内地域間産業連関表を作成するとき必要となる地域間交易の推計に関してグラビティ・RAS 法の利用について検討した。経済産業省地域表の部門別交易データを用いてグラビティ・モデルの回帰推計を行い、その推定されたパラメータを利用してRAS 推計の初期値を与えるものである。距離パラメータの弾性値はばらつきがあるものの、財部門では平均値で-1.12、サービス部門では平均値で-1.77 となった。
実際、山田・大脇(2012)で推計した産業連関表より、今回新たに推計した産業連関表の方が、距離パラメータの値が小さく、県内地域間の交易がより多くなる方向に推計値が修正された。ただし、修正は県内地域間交易のみであるため、各地域の波及効果は異なるものの愛知県全体の波及効果はほとんど変わらないこともわかった。しかし、弾性値の与え方が作表結果に影響するため、与えた値の根拠がより明確なものが望ましい。ここでは、その一つとしてグラビティ・RAS 法による地域間交易の推計の有効性を示した。