院長あいさつ
Dean's message

院長あいさつ

教養教育研究院長
多田 哲

中京大生のみなさんは、学内に教養教育研究院という組織があることを、ご存じでしょうか。

みなさんは中京大学を卒業するために、学部によって異なりますが124〜140単位を取得する必要があります。そのうち約3分の1が全学共通科目、約3分の2が学部固有科目です。学部固有科目すなわち専門教育は、みなさんが所属する学部が提供していますね。では全学共通科目は、だれが提供しているのでしょう。それが、教養教育研究院なのです。そう考えてみると、身近に思えてきませんか。

また教員をめざしている学生は、教職課程を履修していますね。例年約300名の学生が教員免許状を取得し、200名以上が教員採用試験に合格しています。教員免許を取得するためには、免許の種類に応じた「教科に関する科目」とともに、すべての教員志望の学生が履修すべき「教職共通科目」や「教職に関する科目」がありますね。その「教職共通科目」・「教職に関する科目」を提供しているのも、教養教育研究院です。

そして現在100名以上在籍している留学生のみなさんのためには、「大学生のための日本語」、「総合日本語」や「日本事情」といった、留学生用の科目が開講されていますね。履修している学生も多いと思います。これらの科目は、留学生のみなさんが、中京大、さらには日本での学びに適応できるように、組まれています。そうした留学生のための科目を提供しているのも、教養教育研究院です。

このように見ていくと、教養教育研究院がどのような目的の組織であるかが、お分かりいただけたのではないでしょうか。そうです。中京大生が社会に羽ばたくにあたって、備えておくべき共通の学術的基盤を育むお手伝いをするのが、私たちの役割なのです。それを短く言い換えるならば、教養を身につけていただくということになります。

それでは教養とは何でしょうか。その源流が、古代ギリシア・ローマ時代にあると言えば、驚く方も多いのではないでしょうか。古代においてすでに、基礎教育はおこなわれており、カリキュラムや科目というものが存在していました。それらは自由学芸(artes liberales)と総称されます。学修者は段階的にカリキュラムを学ぶことで、自由を獲得します。言い換えると、自由人に必要不可欠で基本的な学問が、自由学芸でした。現代は古代とは異なり、人間が自由人と不自由人に分けられてはいません。しかしこの自由人を社会人、あるいは市民と言い換えるなら、今にも通じる考え方だと思いませんか。もちろん自由学芸の内容・性格は、時代に応じて、そして国や地域に応じて変化していきました。ヨーロッパ中世の時代に、自由学芸は文法学・修辞学・弁証論・算術・幾何学・天文学・音楽の7科目に整理され、さらに大学のカリキュラムのなかに位置づけられました。大学教育課程としての自由学芸の伝統はアメリカにも渡り、リベラル・アーツ(liberal arts)として発展・変質を遂げます。その影響は第二次世界大戦後の日本にもおよび、大学における教養教育が根をおろしました。

さて、中京大の教養教育の話に戻りましょう。在校生のみなさんであれば、教養を身につけるための全学共通科目と、専門的知識を学ぶための学部固有科目が、いずれも4年間通じて学べるカリキュラムであることを、ご存じだと思います。これは、双方がまさに歯車のように噛み合って、社会人として、また世界市民として、社会の発展に寄与できる人材を養成するためです。とりわけ全学共通科目が目的とするのは、個々の学生が、人類が築いてきた知の成果に対する理解を深めつつ、総合的な知を身につけることです。みなさんの多くは、中京大で得た専門的知識を駆使して、おそらく社会で一定の役割を占めることになるでしょう。しかし将来、専門的知識の外にある問題に対処しなければならない場面が、かならず来ます。そうしたときに、中京大で身につけた教養が、対処法を見つけ出してくれるでしょう。

ページトップへ