日付 | 2009年11月25日 |
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講演者 | 京都大学名誉教授 安藤 仁介氏 |
タイトル | 「国際法の理論と現実-規約人権委員会の体験から」 |
場所 | 法学部9号館第1会議室 |
法学研究科では、11月25日(水)12時40分より名古屋キャンパス9号館第1会議室において、京都大学名誉教授安藤仁介氏の「国際法の理論と現実-規約人権委員会の体験から」と題する学術講演会を開催した。安藤仁介氏は日本人として初めて、自由権規約の実施監視機関である規約人権委員会の委員を1987年から2006年まで務められており、うち1993年から1994年には委員長に選出されている。
安藤氏は、まず第2次世界大戦中におこなわれたホロコースト等の反省を受けて、戦後に設立された国連で自由権規約等の国際人権条約が作成されるようになった経緯を説明された。次に、自由権規約は現在165カ国が批准をする普遍性を有する条約であるが、その加盟国の文化的・宗教的背景は多様であり、特に自由や民主主義という価値を必ずしも共有しない国家に対して人権保障の実現を求める難しさについてお話された。その一例として、イスラム国家には一夫多妻制等を認めるシャーリアの範囲内で条約の義務を受け入れるという留保をおこなう国が多数存在することを指摘された。安藤氏の経験に基づく非常に興味深い貴重な講演に刺激を受け、質疑応答も活発におこなわれた。