日付 | 2014年1月24日(金) |
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講演者 | 東京大学准教授 川島 真 氏 |
タイトル | 「尖閣諸島の領土問題化過程-外交文書から見る-」 |
場所 | 中京大学名古屋キャンパス9号館第1会議室 |
法学研究科では、2014年1月24日(金)午後4時から名古屋キャンパス9号館第1会議室において、東京大学准教授の川島真氏を講師に招き、「尖閣諸島の領土問題化過程-外交文書から見る-」と題する学術講演会を開催した。会場には院生、教員20名近くが参加し、質疑応答も活発に行われた。
この講演において川島氏は、尖閣諸島が外交上の問題として形成されていく過程について、既に公開されている台湾(中華民国)側の外交文書に主に依拠しつつ、戦前期、日本の敗戦と講話期、米軍統治下期及び沖縄返還交渉期の中華民国における尖閣諸島(釣魚台列嶼)に関する議論を説明された。その上で、「1972年9月の日本と中国(中華人民共和国)の間の日中国交正常化以前に、尖閣諸島問題は既に外交上の問題となっていたが、中国が実際にはこの問題形成過程の当事者ではなかったことを鑑みれば、国交正常化交渉において、特にこの問題に拘らなかったことも理解できる」と結論付けられた。
川島氏の講演は、一次資料に基づく研究成果を基にしている点で、近年の日本における根拠のない言説とは一線を画するものであり、改めて歴史学における史料研究の重要性に気付かされた。このように、本講演は、その発表内容のみならず、それに至る研究方法からもさまざまな示唆を得ることができ、参加した院生のみならず教員にとっても大変有意義なものであった。
(法学部教授 古川浩司)