この授業では、最初に、国際関係論(International Relations:IR)の新たなトピックである「人間の安全保障(Human Security)」に関する基礎知識を学んだ後に、国家公務員・地方公務員などとして、実際に人間の安全保障に関係する活動を実践している講師がそれぞれの関係する分野の現状と課題に関する講義を行いました。その後、履修者には報告の機会を設けることにより、授業内容に関する理解を深めさせました。(なお、講師のご所属は授業当時のものです。)
5月1・8日(13:10~14:40)
「人間の安全保障」の観点からの国際地域開発に対する理解を深めるために、元国連地域開発センター上席研究員の高井克明さんに、国連地域開発センターの概要、国際開発の視座、内発的開発アプローチについてご説明いただいた上で、モンゴル・ゲル地区、ネパール・タンセン市、インドネシア・スラバヤの事例をもとに議論しました。
5月15日(16:40~18:10)
日本政府(外務省)の人間の安全保障に関する施策に対する理解を深めるために、外務省地球規模課題総括課の清水和彦さんに、「人間の安全保障」概念の形成(国家の安全保障の限界・概念の登場と発展・内容/要素)、日本の取組(概念の普及・開発協力政策への導入・国連人間の安全保障基金)、具体例(国連防災世界会議)についてご説明いただいた上で、それらの課題について議論しました。
(講座の様子は、こちら(外務省ホームページ)でも閲覧できます。)
5月22日(13:10~14:40)
「人間の安全保障」の実践例である愛知県の防災対策に対する理解を深めるために、愛知県防災局災害対策課の松浦直樹さんに、災害・防災の法的位置づけ、愛知県の防災体制(非常配備体制・防災情報システム・防災航空隊・緊急消防援助隊、警察災害派遣隊の応援要請の仕組み・自衛隊の災害派遣要請の仕組みなど)、愛知県における市町村支援、広域連携、民間企業との連携・協力などについてご説明いただきました。
5月29日(13:10~14:40)
自衛隊の災害派遣に対する理解を深めるために、自衛隊愛知地方協力本部の村上健児さんに、災害対応における法的枠組み(被災者救助、防災行政の整備・指定行政機関の役割)、自然災害の概要(地震、津波、水害、火山災害及び土砂災害・南海トラフ地震等への対応の必要性など)、自衛隊の災害派遣(災害派遣の種類・災害派遣の「3要件」・活動実績・東日本大震災、阪神淡路大震災の概要・平素における災害派遣対処態勢)などについて、具体例を交えながらお話しいただきました。
6月5日(13:10~14:40)
日本の過疎問題について「人間の安全保障」の観点から考えるべく、三河山間地域の活性化に対する理解を深めるために、愛知県振興部地域政策課山村振興室の石川淳二さんに、三河山間地域の現状、あいち山村振興ビジョン、平成27年度の重点的取組(知名度向上、来訪者増加、移住・定住促進)についてお話しいただきました。
6月12日(13:10~14:40)
日本の安全保障のために地域の安全保障が脅かされていると言われる沖縄問題を「人間の安全保障」の観点から考えるべく、一般社団法人ニューパブリックワークス代表理事の上妻毅さんに、日本の国益の観点から沖縄が貢献を果たしている領域(安全保障[軍事・防衛以外の非伝統的分野を含む]・排他的経済水域[シーレーンの確保を含む]・多様性[環境・文化]の確保)についてお話しいただきました。
本授業では履修者による中間報告会も行いました。報告会では、上記の授業を踏まえ、履修者による報告(「愛知県三河山間地域における災害対策」「沖縄基地問題~人間の安全保障の観点から~」など)及びその報告を踏まえた履修者間の意見交換が行われました。
※この科目は、2016年度は不開講です。