学部長挨拶

文学部長 柳沢 昌紀

文学部長
柳沢 昌紀

文学部は昭和41年(1966)年に、国文・英文・心理の3学科で発足しました。やがて、中京大学の発展とともに心理学科は心理学部に、英文学科は国際英語学部に、それぞれ改組されました。これと連動して国文学科も改組を進め、2003年に「日本文学科」(国文学科を改称)と「言語表現学科」(新設)の2学科に改編し、さらに2014年には歴史文化学科を設置して、3学科体制となりました。躍進を続ける文学部だと自負しています。

この3学科を紹介しますと、まず日本文学科は、世界の中に位置する日本文学を研究する学科です。そのため上代文学から近代・現代文学にいたるそれぞれの時代はもちろん、日本語学、中国文学、国語教育などの専門教員を擁しています。また言語表現学科は、現代日本語の表現世界を科学的に研究する学科です。日本語学の専門教員はもちろん、出版、広告、図書館学、文字芸術としての書道などの専門教員を擁しています。そして歴史文化学科は、日本の歴史や文化を研究する学科です。本学の立地する尾張三河という地域特性を重視しつつ、日本史の各時代はもちろん、思想史、民俗学、歴史教育の専門教員を擁しています。
3学科間では他学科科目の履修も認められており、それぞれの学科での学びに他学科の学びを加えることによって、伝統と創造、古典と現代日本語表現、文学と歴史など、多様な方向から日本の文化を研究することも可能です。教職免許は、日本文学科・言語表現学科では高校・中学の国語と書道、歴史文化学科では高校地歴、中学社会の各免許が取得できます。また3学科ともに、司書、司書教諭、学芸員、日本語教師の資格が取得できます。 このように、文学部は3学科が手を携えて、グローバル社会における日本文化を見つめ直す教育と研究をおこなっています。

文学部の学問は、医学・工学等の理系学部や外国語学部の学問とくらべると、実学としての華やかさがわずかです。人類の発展において実用の知識や技能が世に求められるのは当然として、文学部は、そうした実用の世界を基底でささえる基礎能力の向上を養成します。この基礎力を人間力または良心と呼んでもよいでしょう。文献を正確に読解する力、真贋を的確に見抜く力、論理的な思考と表現の力、他者の思考への対応力、文明の大局を見通す判断力などがそれにあたります。これらの能力は、特定社会にのみ適応するものではありません。グローバル社会における多様な場面で活躍をも可能としていく、「たくましさ」を保証するものです。そしてまた、この人間力・良心を備えた人材こそが、じつは世界の様々な実用の世界において、切実に求められる人材と考えています。

実学偏重の風潮におどらされることなく、いざ、世界に誇る日本文化の豊かな学びの世界へ。たくましく、そしてしたたかに。