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コミュニティ学専攻

学びのガイダンス:地域社会学を学ぶ人のために

地域社会とは人が生活を営む場所であり、その場所を生活が営めるように管理し、維持している組織や制度のことです。たとえば、子どもを育てる営みを考えてみると、保育園や小学校などの育児・教育施設が必要です。これらの施設が十分にあるかどうか、そこでどのような育児や教育の内容が施されているか、このようなことがよく話題になります。その量や内容を決めているのは誰でしょう。国や市町村がかかわっているのは知っているでしょうが、それが「決められている」というわけではありません。住民、つまり住んでいる人たちの多くが、子どもたちにこんなことを知ってほしいと思って育児や教育にかかわり、行動すれば、それまでの施設の内容が議論になり、変更されうるのです。

このように、育児や教育の施設を捉えれば、地域社会とは子どもを育てる枠組みです。ほかの生活に必要なさまざまな条件についても同様です。高齢者や障害のある人の生活を支える制度もまた地域社会のありように影響されます。国や県、市町村などの地方自治体はその枠組みの担い手であり、地域社会という概念で捉えられます。こうした法律によって決められた制度としての組織はわかりやすいでしょう。しかしもっと身近なレベルの地域社会もあります。集落とか、何々町、何々区、あるいは何々協議会などところによって色々な呼び名の組織がありますが、それらを地方自治体内のさまざまなコミュニティ組織と呼んでおきます。そこでの住民の活動のあり方が生活の枠組みを左右する大きな要因であること、したがってこのコミュニティ組織の構造や活動を理解することが地域社会学にとって大切なポイントになります。それはそこの地域社会がたどってきた歴史や文化をも表現します。

祭りがあるところないところ、通りがきれいなところと汚れているところ、挨拶がよくかわされるところかわされないところ、こうした風景・景観、そして住民の行動を説明する大きな要因でも、地域社会はあるのです。

暮らしやすさに影響する直接的な人間関係、つまり対人的な行動を左右するという意味で地域社会は重要です。さらに言えば、そうした関係性が経済開発を押しとどめたり、自治体や国の制度を変更する社会的な力が発酵する場でもあるのです。地域社会とはその意味で生きる枠組みであると同時に身近な生活場所で公共性を維持したり変えたりする主体でもあるのです。