CERTIFIED CLINICAL PSYCHOLOGIST・
CERTIFIED PUBLIC PSYCHOLOGIST

心理学研究科

公認心理師・臨床心理士

公認心理師と臨床心理士

中京大学心理学研究科博士前期課程(修士課程)臨床・発達心理学専攻の臨床心理学領域では、臨床心理士と公認心理師の受験資格が取得できます(発達心理学領域および実験・応用心理学専攻では受験資格は取得できません)。臨床心理士は、(財)日本臨床心理士資格認定協会によって認定を受けた心理専門職です。30年以上の歴史があり、1995年から始まったスクールカウンセラーも、約8割が臨床心理士でした。本校も(財)日本臨床心理士資格認定協会による第一種指定大学院として、臨床心理士受験資格のカリキュラムを設置しています。臨床心理士受験資格取得のために習得すべき科目には、「臨床心理学特論」「臨床心理面接特論」「臨床心理査定演習」「臨床心理学基礎実習」「臨床心理実習」といった必修科目や「心理学研究法」「行動心理学特論」「社会心理学特論」などの選択科目があり、合計26単位以上を習得しなければなりません。臨床心理士は資格取得後も5年ごとに更新があり、学会や研修会への参加・発表、論文の執筆など、常に研鑽を積んでいることが求められます。これは大変なように思えますが、臨床心理士の資質を担保するうえで大切なことでもあります。中京大学心理学研究科からの臨床心理士合格数は、過去5年間で42名、2019年度の合格率は100%でした。

一方で、公認心理師については心理学部のHPでも紹介していますが、2017年に定められた国家資格です。心理学部において指定科目を修得したのち、文部科学省・厚生労働省の指定する施設で2年以上の実務経験、または大学院での指定科目を修得して受験資格を取得し、公認心理師試験を受験することになります。現在は文部科学省・厚生労働省の指定する施設は限られており、公認心理師になるための方法としては、大学院への進学が一般的となっています。

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臨床心理士は学部による科目の指定はありませんが、公認心理師では学部において指定科目を履修、修得している必要があります。指定科目は、心理学部のHPで公開していますが、カウンセリングの演習が1科目、心理実習は80時間以上となっています。大学院での指定科目は、保健・福祉・教育・司法・産業分野に関する理論と支援の展開といった講義・演習科目に加え、450時間の実習が課せられています。臨床心理士のカリキュラムと比較すると、実習時間に重きが置かれていることがわかります。臨床心理学は講義や演習でしっかりと基礎や理論を学び、実践しながら理解を深めることが重要です。国家資格である公認心理師は更新制ではなく、今後、公認心理師が心理専門職のスタンダードとなると予想されますが、現場に出る前にしっかりと臨床心理学の諸理論を学ぶことも必要でしょう。そのため、現状では臨床心理士・公認心理師の両方の資格取得を目指している院生がほとんどです。

大学院生活

心理学研究科修士課程の修了単位数は32単位で、2年間の研究指導を受けて修士論文を提出し、合格しなければいけません。臨床心理士や公認心理師の受験資格取得に必要な科目を加えると修了までに取得する単位は60単位を超えます。

修士課程の1年目では、研究指導や事例検討会、講義、実習など1週間で10科目近くを受講することになります。大学院の授業は少人数で行われ、発表やディスカッション、レポート提出などが求められます。それに加え、秋学期からは学外実習として近隣の病院や附属高校での実習、学内相談施設での実習として実際の事例を担当することになります。事例を担当すれば、毎回の心理面接の準備や記録の時間も必要となります。とても忙しい毎日ですが、学部生の頃はDVDを視聴したり、ロールプレイでしか学ぶことができなかったのに対し、実際の事例を担当している先輩の話を聴いたり、自分が事例を担当して、指導を受けることが貴重な体験になったという話をよく聞きます。

修士課程の2年目になると、講義は少なくなりますが修士論文のデータ収集や分析、執筆などが本格化します。また、今後は公認心理師試験の受験準備なども必要になるでしょう。

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修了後の進路

修士課程修了後の進路は、臨床心理士と公認心理師では大きな違いはありません。病院・診療所、学校、教育センター、企業内相談室、外部従業員支援プログラムなど、さまざまな領域で活躍しています。一番多いのは、精神科の病院やクリニック、総合病院の心理専門職ですが、公務員試験をうけて児童相談所や少年鑑別所の技官に就職する人もいます。修了後すぐに正規職員として働く場合もありますが、非常勤職員としていくつかの仕事を兼務しながら経験を積むことが多いようです。中京大学大学院心理学研究科では博士後期課程がありますので、臨床活動をしながら研究者を目指す道もあります。

臨床心理士については、3年に1回「臨床心理士の動向ならびに意識調査」が実施され、報告書が閲覧できる場合もあります。雇用形態や平均年収などのデータが分析されています。公認心理師についてもいずれそういった調査がなされ、発表されるかもしれません。