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教授
勝亦志織(かつまた しおり)
自己紹介/プロフィール
学習院大学大学院人文科学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程修了。学習院大学文学部日本語日本文学科助教、立教大学等非常勤講師を経て、2015年4月本学着任。専門は中古・中世の王朝物語。物語史の中で、王朝物語がどのように変容しているのか、皇女や后といった女性たちを軸に研究している。最近では特に『狭衣物語』について重点を置き、斎院文化圏という『狭衣物語』作成の〈場〉と、その後の『狭衣物語』変容の様相に興味を持っている。加えて、物語の「語り」と「書記」の問題についても考察しており、『源氏物語』以前の「語り」の問題に着目し『大和物語』をはじめとする10世紀後半の作品についての研究を進めている。
学会・公職活動
中古文学会、日本文学協会、全国大学国語国文学会、物語研究会、平安朝文学研究会、古代文学研究会、和歌文学会
主な著書・論文
『物語の〈皇女〉―もうひとつの王朝物語史―』(笠間書院 2010年)
「宝塚歌劇と日本古典文学享受 宝塚グランドロマン新源氏物語―田辺聖子作「新源氏物語」より(二〇一五年上演)をめぐって―」(『古代文学研究 第二次』第28号 2019年10月)
「『大和物語』柔子内親王関連章段における一考察」(東原伸明・山下太郎編『大和物語の達成―「歌物語」の脱構築と散文叙述の再評価』武蔵野書院 2020年5月)
「『うつほ物語』における和歌と歌物語性―藤原兼雅の例から―」(廣田收・辻和良編『物語における和歌とは何か』武蔵野書院 2020年9月)
「『源氏物語』野分巻における玉鬘の和歌と夕霧―和歌を立ち聞くことと可能態としての「歌語り」―」(『日本文学研究ジャ―ナル』第17号 2021年3月)
「『枕草子』における中宮定子の「語り」と「書記」―「清涼殿の丑寅の隅の」章段から―」(伊藤禎子・勝亦志織編『王朝文学の〈旋律〉』新典社 2022年1月)
ゼミ紹介
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勝亦ゼミ
勝亦ゼミでは、古代から中世にかけての作品を対象とした研究を取り上げています。上代から平安、そして院政期を経て中世へ、変転する時代の流れの中で多くの作品が生まれ享受されてきました。『古事記』『日本書紀』の世界にはじまり、豊かな韻文世界を示す『万葉集』。平安時代に入ると『竹取物語』にはじまり、『伊勢物語』などの歌物語、『落窪物語』や『うつほ物語』と展開し、そして『源氏物語』という世界に誇るべき大作が誕生します。さらには『源氏物語』に続く平安後期物語や中世王朝物語にも魅力的な作品があります。その一方で、『土佐日記』にはじまる日記文学、中学や高校の国語教材としてよく取り上げられる『枕草子』などの随筆があり、そうした複数のジャンルに共通して和歌がその世界観を支えています。
このゼミでは、以上のような作品を材料として、作品内容の読解はもちろんのこと、作品成立の背景や時代状況などを調べて資料を作り、発表する演習形式の授業を行っています。扱う内容は古典作品ですが、議論の仕方やプレゼンの仕方など、社会人として身につけるべき能力が習得できるよう毎回様々に方法を変えて発表してもらっています。古典文学というと、社会生活に意味を持たない、学んでも意味の無い学問のように思いがちです。しかし、なぜ古典作品が現代まで読み継がれてきたのかを問わなければ、日本において受け継がれてきた言葉や文化の価値を理解することはできません。古典作品の築いてきた豊かな文学世界を理解し、次世代への継承を担ってほしいと思います。
そしてもう一つ、古典というと何か難しそう・・・面白く無さそう・・・と思う方も多いでしょう。このゼミではその固定観念をくつがえします。すでに平安時代後期には現代日本のポップカルチャーの礎ともいうべき現象が起きています。まずは一緒に古典作品の「面白さ」を見つける旅に出ましょう。
主な卒業研究タイトル
●ヤマトタケルをめぐる女性たち
●大伴坂上郎女論 母として家刀自として
●『日本霊異記』における狐と中国文化の影響
●平安文学の中の植物
●平安文学における猫―『枕草子』『源氏物語』『狭衣物語』『更級日記』から―
●『古今集』における掛詞
●教材としての『伊勢物語』―六段の後半部分について―
●『伊勢物語』における歌話作成~万葉歌の展開~
●『落窪物語』論―異母兄弟姉妹について―
●『枕草子』における天候―雨と雪について―
●「幸ひ人」としての紫の上
●末摘花の再発見について
●古典の学習における『源氏物語』―学習の現状と今後の指導の在り方―
●『源氏物語』における貴種流離譚
●『源氏物語』宇治十帖の音―浮舟にまつわる聴覚表現から―
●『和泉式部日記』における小舎人童―女と帥の宮の媒介者―
●『和泉式部日記』論―「手枕の袖」から見える和泉式部の心情―
●『更級日記』における浮舟の役割
●『狭衣物語』における飛鳥井姫君の役割について
●『今昔物語集』と『六の宮の姫君』―女性観と仏教観から見て―
●『とりかへばや物語』のうわさと秘密保持
●『小右記』にみる藤原実資
●藤原清輔詠歌の一考察―「涙」「雨」から―
●式子内親王にみる「夢」歌の考察
●『百人一首』における藤原定家の撰歌基準と五十六番歌について
●『百人一首』における「君がため」論―光孝天皇・藤原義孝をめぐって―